FC2ブログ

謎の物質「ダークマター」の兆候を99.8%の確率で検出

 昨年のヒッグス粒子の発見によって、「素粒子の標準模型」は完成し、世界中の研究者の目標が標準模型を超える物理の探索に移っています。

 宇宙は何でできているのか、どのように始まり、その運命はどうなるのか。
その謎に迫ろうというのが、宇宙の統一理論なのです。
この宇宙の統一理論にとって、最大の謎は、宇宙全体の95%は暗黒物質、暗黒エネルギーという未知の存在で占められているということです。
それまでは、宇宙も地球上の物質と同じものでできていると考えられてきたのですが、それが人工衛星などの観測で03年に根底から覆されました。

 そして、今年の3月には、4年前の5月に打ち上げられプランク衛星による宇宙マイクロ波背景輻射の観測結果の第1回の発表がありました。
「素粒子の標準模型」はヒッグス粒子の発見によって完成しましたが、プランク衛星の観測は「宇宙の標準模型」の重要な検証となりました。
「宇宙の標準模型」とは、ビッグバン以来の宇宙の膨張を宇宙項、冷たい暗黒物質と、通常の物質の3つから説明するものです。
プランク衛星の観測結果は、この模型で精密に説明できました。

 たとえば、宇宙の年齢が今までは137億年だとされていたものが、138.2億年であると決まりました。
また、これまで暗黒エネルギーや暗黒物質の量は、宇宙マイクロ波背景輻射をそのほかの観測結果と組み合わせて決めていましたが、今回は宇宙マイクロ波背景輻射の観測だけから決定できたのも画期的です。
暗黒エネルギーや暗黒物質があると、重力レンズ効果でマイクロ波背景輻射も歪むので、その効果を計算に入れることで、データからさらに情報を引き出すことができたのです。

 プランク衛星以前の観測では、宇宙の暗黒エネルギー、暗黒物質、通常の物質の比は、72.8パーセント、22.7パーセント、4.5パーセントとされていました。
しかし、プランク衛星の観測結果によって、68.3パーセント、26.8パーセント、4.9パーセントと改定されました。4桁の精度で年齢が決まったことは大きな進歩です。

 この数値の違いは、プランク衛星での観測結果とそれ以前の観測とで、暗黒エネルギーの量が4.5%も減少したことは、もしかすると違う年代の宇宙を観測しているからかもしれません。
もし、この違いが誤差でなく物理的に意味のある違いだということになると、暗黒エネルギーは宇宙項に関連しているがけではなく、なにか時間的に変化するものである可能性も考えられます。

 今後の宇宙の統一理論にとっては、暗黒エネルギーや暗黒物質の存在は、素粒子の標準模型を超える物理学があることを確かに示しています。
そのため、加速器実験の結果と、重力による宇宙の探索を組み合わせることが、ますます重要になるものと思われます。


 今年の4月に、国際宇宙ステーションに設置されたAMS実験による暗黒物質探索の最新結果がCERNで発表され、話題になりました。
数年前にPAMELA実験で観測された宇宙からの陽電子のエネルギーと強度が、より高い精度で確認されたようです。
それまでの宇宙物理学理論で予言されていた陽電子の量を超えるものだったので、暗黒物質の崩壊から生まれた陽電子ではないかと言われましたが、パルサーなどを起源とする陽電子である可能性も否定できないようです。
暗黒物質の崩壊から生まれる陽電子と、パルサーなどを起源とする陽電子では、高エネルギーでの量が異なるので、より高いエネルギーでのデータが得られるようになると、どちらが起源であるかが明らかになるかもしれません。

 超弦理論は重力と素粒子物理の統一を目指す理論なので、このような方向に加速器実験や宇宙線の観測に向かっていくのは、超弦理論の検証にも重要なことだと思われます。
超弦理論・M理論には六次元の余剰次元を考慮する必要があります。

---
 6次元幾何学が暗黒物質を解き明かすか

 暗黒物質は奇妙なことに、我々が知っているより重い粒子で、光を出さない。
重いということはアインシュタインの特殊相対性理論により、静止エネルギーがある。
止まっていてもエネルギーがあるということは、我々の目には見えない次元で、暗黒物質が走っているのではないか。
空間は3次元ではなく、本当は9次元で、3次元のほかに、6次元空間がある。
それはどのような性質があるのか。
自然界とは関係ないと思われていた数学の6次元の幾何学(カラビ=ヤウ空間)が、暗黒の謎を解き明かすのに登場してくる。
---


 「AstroArts 天文ニュース」と「毎日新聞」に暗黒物質についての記事が掲載されています。

ダークマター候補「WIMP」の兆候を検出:AstroArts 天文ニュースより
http://www.astroarts.co.jp/news/2013/04/16wimp/index-j.shtml
【2013年4月16日 テキサスA&M大学】

米大学などの国際研究チームが、宇宙全体の約4分の1を占めるとされる謎の物質「ダークマター」の兆候を99.8%の確率で検出したと発表した。

ダークマターは、質量として存在し重力的な影響を及ぼすものの電磁波では直接観測できない、正体不明の物質だ。国際研究プロジェクト「CDMS」(極低温ダークマター探索)では、地下に設置された極低温装置で、ダークマターの候補の一つであるWIMP(弱い相互作用しか及ぼさない粒子)が検出器の結晶の原子にぶつかったときにわずかに揺れ動く「反跳」と呼ばれる現象の検出を目指してきた。

以前米ミネソタ州に設置されていた検出器「CDMS-II」のデータ解析を進めたところ、軽量な(15GeV/C2以下)WIMPに対して感度の高いシリコンでこの反跳と思われる事象が3個見つかった。

プロジェクトメンバーのRupak Mahapatraさん(米テキサスA&M大学)は「とてもエキサイティングな成果ではあるが、まだ信頼性がじゅうぶんではない」という。今回検出した事象の数は「偶然ではないかもしれない兆候がある」というレベルで、「発見」の域には達していない(注)。今後さらにデータを集めて研究を進め、検出の確実性を現時点の99.8%から99.9999%にまで引き上げることを目指す。

注:「有意性レベル」 有意性(偶然ではないこと)を示す指標でいうと、今回の検出は3σ(シグマ)レベルとされる。一例として、2012年7月の「ヒッグス粒子(とみられる新粒子)発見」暫定発表は5σの有意性だった。


毎日新聞:「暗黒物質 探索最前線 上・下」

**陽電子検出 出所に迫る (上)**

 欧米などの研究チームが、国際宇宙ステーション(ISS)に設置した装置で「暗黒物質」の存在と考え得るシグナルを観測した。
だが「暗黒物質を発見」とまでは言えず、日本が来年ISSへ送るより強力な観測装置に期待がかかる。
探索の最新事情を2回に分けて報告する。
 
 暗黒物質は、水素など我々が知ってい物質の5倍あり、宇宙誕生初期などに物質を引き寄せて星や銀河を作る元になったとされるが、光などで直接観測できず、その正体は不明だ。

 チームは暗黒物質同士が衝突すると陽電子(プラスの電子)が生じるとされることに注目。
強力なネオジム磁石で陽電子など宇宙線を検出する装直「AMS」を計画し、米スペースシャトルで11年に打ち上げた。
 チームのサミュエル・ティン米マサチューセッツ工科大教授=76年ノーベル物理学賞=は4日、18ヶ月間の観測で陽電子を40万個以上検出、分析した最初の成果をスイス・ジュネーブの欧州合同原子核研究所(CERN)のセミナーで発表した。
陽電子を飛来時のエネルギー別に整理し、観測数を比率で示すとグラフの右、高エネルギー側に山ができた。
これが暗黒物質の存在をうかがわせる部分だ。
 ただ、暗黒物質発見と言い切れないのは、星が寿命を迎えて起きる超新星爆発の後にできるパルサー(高速回転する中性子星)からも陽電子が放出されるためだ。
出所を突き止めるにはまだ時間がかかりそうだ。
 05年からチームに加わる灰野禎一・台湾中央大助教は同日、千葉県柏市の東京大宇宙線研究所に招かれて成果を紹介。「陽電子の供給源を判断するのは時期尚早だが、今までの考え方で説明できない現象が観測されたので何らかの理論が必要。精密な測定を続けたい」と話した。

 ●日本 来年に新装置

 日本にも暗黒物質の証拠を宇宙で捕まえる計画がある。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)と早稲田大などのチームは観測・装置「CALET(カレット)」を開発、来年打ち上げる無人補給機「こうのとり」5号機でISSへ運び、日本実験棟「きぽう」の船外実験施投で2~5年間かけて観測する予定だ。
 AMSより高いエネルギー領域まで測定できるのが特徴で、暗黒物質の候補の新粒子を絞り込めると期待される。
責任者の鳥居祥仁早大教授宇宙線物理学)は、「AMSの今回の観測では暗黒物質かパルサーかはっきりしない。CALETで解明を目指したい」と意気込む。


**飛来の「証拠」捕まえろ (下)**

 宇宙全体の組成の3割近くを占め、銀河や星の形成に重要な役割を果たしたとされる暗黒物質。
新たな素粒子が有力候補だが、直接光や電磁波を出さず、他の物質ともほとんど反応しないため、いまだ正体不明だ。
探索は宇宙に加え、地球上でも続いている。 

 地中で暗黒物寅を検出する装置が東京大の「XMASS(エックスマス)」だ。
素粒子の一つ、ニュートリノの質量を初めて確認した「スーパーカミオカンデ」と同じ旧神岡鉱山(岐阜県飛騨市)の地下1000㍍にある。

●衝突すると発光

 ニュートリノ同様、宇宙から時折飛来すると考えられる暗黒物質は地層を貫通し、水槽を満たした液体キセノン(約1㌔)
と衝突して微弱な光を発すると考えられている。
周囲に高感度センサーの光電子増倍管を642本配置し、光を捉え「暗黒物質の証拠」をつかむ作戦だ。
外部からの放射線を遮断するため、検出器は直径10㍍、高さ10㍍の水槽中央に置かれている。
 欧州などのチームが今月、観測データを発表した装置「AMS」は暗黒物質同士の衝突で生じるとされる陽電子を検出する間接探索だが、XMASSは直接探索なので暗黒物質の存在だけでなく、スピン(自転)などの性質まで分かる長所がある。
 だが最近、問題が発覚した。
光電子増倍管にわずかに含まれる放射性物質の影響だ。
現在改善のため装置を解体中で、本格稼働は早くて2015年以降の見通し。
東大宇宙線研究所の鈴木洋一郎・神岡宇宙素粒子研究施設長は「トラブルは予想外だが、感度を上げて早く暗黒物質の正体をつかみたい」と話す。

●人工的に素粒子作る

 一方、暗黒物質の候補とされる未知の素粒子を人工的に作り出そうというのが、欧州合同原子核研究所(CERN)の大型粒子加速器「LHC」だ。
 同じCERNに属するがAMSとは別のチームで、あらゆる物質に質量を与えたとされるヒッグス粒子の探索でも知られる。
 LHCは全長27㌔の巨大円形トンネルの中で、陽子を左回りと右回りにほぼ光速に加速して検出器部分で正面衝突させ、約13
7億年前の宇宙誕生直後と同じ高温高圧状態を一時的に作り出す。
この時さまざまな素粒子が生じる。
 実験に携わる浅井祥仁東大教授によると、15年にエネルギーを増強した衝突実験を始めれば、候補の新素粒子が生まれる可能性があるという。
 暗黒物質は発生しても直接検出器に映らない。
だが、暗黒物質発生で他の素粒子の観測パターンに偏りができることを、データに積み重ねて捉えれば、暗黒物質の新素粒子を特定できる可能性が高まるという。
浅い教授は「どれか一つではなく、さまざまな装置でデータを集め、別の装置のデータとつじつまが合うかどうかを確認することで初めて、暗黒物資の正体は突き止められる」と話す。
スポンサーサイト



プロフィール

toto

Author:toto
「時間旅行」とは?・・・過去と未来が「今」と繋がっているとすると、過去を替えることが出来るならば、未来も替える事が可能と成るはずです。
地球にとっての、「良き未来」を創るために、「今」を一所懸命に生きて、良き未来を目標として生きてみたいですね。

カレンダー
03 | 2013/04 | 05
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 - - - -
最新記事
カテゴリ
最新コメント
月別アーカイブ
検索フォーム
リンク
/a / /